まちづくり情報

月刊まちづくり情報

2003年6月発行

  • 2003年6月発行 01号
    住民が町並み整備の統一基準を整備(福井県小浜市)
    小浜市の都市計画道路小浜縦貫線に面した市中心部の住吉、酒井に居住する住民51戸で組織された「縦貫線住吉酒井まちづくり協議会」は、3月7日、各家の屋根の形や外壁の色、看板の取り付け方等を統一し、城下町の風情漂う木造和風の町並みに整備していく協定を締結したことを村山利夫市長に報告した。この協定は、小浜縦貫線の拡幅に伴い、38戸の建て替えが必要となるのを機に、商業部会や婦人部会が県外視察を重ね、風情、人情ある町並みに整備し中心市街地を活性化させることを目的に外壁の色を焦げ茶または紅殻調に統一、窓には、木製または銅色のアルミ製の格子を付け、屋根は、いぶし瓦または瓦風鉄板葺き切り妻造り、玄関は通りに面し、戸は銅色アルミ製格子戸とした。さらに家の壁面を通りから1.1〜1.5m下げて建築するなどの25項目の基準を定めている。同線の拡幅区間は、237.5mであり、整備年度としては、2008年度までとしている。同協議会は、「電線の地中化や条例制定などの特色あるまちづくりに市の支援をお願いしたい」と要望。市長は、「町内の体制が確立されているので、市としても具体的に検討していきたい」と回答。
  • 2003年6月発行 02号
    映画やテレビ番組の撮影の誘致・支援による観光振興(沖縄県)
    映画やテレビ番組などの撮影を積極的に誘致・支援することにより、知名度アップや観光客の増加を目的として、沖縄観光コンベンションビューロー(CCVB)内に4月1日付で「沖縄フィルムオフィス」が開設され、4月18日看板掲示式が行われた。撮影候補地の紹介や各種許認可手続きの代行、現地案内などロケに関する支援を行う。また、撮影用ガイドブックの配布やホームページでの情報発信などにより、撮影を誘致する。他には、市民エキストラの紹介や撮影地のデータベースも構築していく。撮影隊の宿泊、食事、交通費など直接の経済効果に加え、機材のレンタルやレンタカーなどの波及効果、映像が国内外で流れることによる知名度アップや観光客誘致による観光振興につながると期待している。昨年の7月に準備室が開設されて以来、44件の問い合わせがあり、既に33件を支援している。今年度は、2280万円の予算を計上し、活動を本格化する。
  • 2003年6月発行 03号
    国際通りに強烈な日差しカット、雨よけに連続した日よけが登場(沖縄県那覇市)
    市国際通り商店街振興組合連合会が、昨年度から「国際通りグレードアップ事業」として、南国特有の強烈な日差しや、急な雨にも、歩行者にとって快適な空間を提供しようと那覇市のメインストリート国際通りに日よけ(オーニング)が登場している。同事業は、オーニングの他、設置できない箇所は、パラソルを置くことを計画しており、電線地中化、歩道拡幅などと合わせ2005年度まで。国、県が2/3、市が1/6を補助し、昨年度は、68店舗、今年度はこれまでに46店舗の申し込みがあるが、店舗だけでなく、観光客には好評である。
  • 2003年6月発行 04号
    「県総合行政情報通信ネットワーク」が開局(沖縄県)
    県と52市町村などの防災情報、行政情報を交換する通信回線網「県総合行政情報通信ネットワーク」が、4月28日に開局し、県庁講堂で稲嶺恵一知事や国、市町村長ら関係者が集い開局を祝った。同通信網は、1998年より4年間、約85億円をかけ、大容量の光ファイバーや地上マイクロ波多重回線を幹線として、自治体、消防署、県立病院、教育センターを接続し、衛星回線で2重化と最先端の通信網を構築した。気象情報や災害情報が一斉通報される機能や住民基本台帳や国民健康保険、介護保険、教育・医療分野のデータも交換できる。今後は、遠隔地医療やテレビ会議、災害時の映像情報配信など幅広い活用が期待される。
  • 2003年6月発行 05号
    特区への関連企業立地に向けた実現化計画をまとめる(沖縄県名護市)
    5月1日、市全域が情報通信・金融特区に指定されている名護市は、同特区への関連企業 立地に向けた実現化計画策定調査報告書をまとめた。同報告書では、企業立地について、「人と自然にやさしい施設整備」「エコロジカルなまちづくり」をコンセプトに、先端的な知識労働の生産性向上や国際的に通用する地球環境に配慮したまちづくり、人々の定住を促す魅力創出などをイメージしている。また、12月までに東海岸側久辺三区地域に1号館ITビル(マルチメディア2号館)を建設し、2009年度までには、7つのITビルを整備する予定である。就業者数は、民間地域を含め6000人と想定される。
  • 2003年6月発行 06号
    地主会が村の玄関口としてまちづくり方針を報告(沖縄県読谷村)
    4月27日、1999年7月に返還された読谷村の米軍嘉手納納弾薬庫地区の地主会が、2003年度定期総会で、「水・緑があふれ、歴史・文化の感じられる読谷村の玄関口」としたまちづくり方針を報告した。今後、土地利用や道路、公益施設の整備などまとめられた7項目について、村と地主会が「まちづくり構想図」を作成し、今後の整備や作業を進める方針である。また、地主会は、次年度「まちづくり計画図」を策定し、土地区画整理準備組合を発足させ、09年度には着工予定である。
  • 2003年6月発行 07号
    本郷町通りケヤキ並木が『緑陰道路モデル地区』に指定(岐阜県岐阜市)
    岐阜市本郷町通りのケヤキ並木が、国の「緑陰道路プロジェクト・モデル地区」に、東海三県で初めて指定された。本郷町通り(東西約450メートル)は1981年に101本のケヤキが街路樹として植えられ、緑のトンネルを形成している。モデル地区とは街路樹の剪定をせず、欧州の都市のように自然な緑があふれる道路にしようと、今年1月に国土交通省が提唱して全国から募り、3月末の第1次では13地区が、5月16日の第2次では岐阜市を含む八地区が指定された。指定後は地元住民と自治体が役割分担して街路樹の管理をする。同市は既に地元自治会でつくる本郷ケヤキ通りまちづくり協議会と協力体制が整っており、同市は「お手本としてアピールしたい」と話す。
  • 2003年6月発行 08号
    海峡を越え施設を高齢者に無料か割引で開放(山口県下関市、福岡県北九州市)
    下関、北九州両市は、6月1日から市立の文化、観光、体育施設を両市に住む65歳以上の高齢者が、無料または割引料金で相互利用できる制度をスタートさせる。高齢者の生きがいづくりなどを目指す連携事業で、下関市が5月20日、市議会文教厚生、経済両委員会に報告した。同制度は、両市が2001年度に「海峡を越えたまちづくり」をテーマに両市職員から募った連携事業案の入賞作「『高齢者海峡生きがい施設利用証』の創設」を基に、本年度中に導入することで両市長が合意し、具体的検討を続けていた。対象施設は、下関市が長府庭園(長府黒門東町)など5施設、北九州市が自然史・歴史博物館(八幡東区)や山田緑地(小倉北区)などの30施設。下関市は、導入により(1)高齢者の外出意欲を刺激し、生きがいや健康づくりにつながる(2)両地域の一体感や親近感が増す(3)経済的波及などの効果を期待している。
  • 2003年6月発行 09号
    八幡市教委での就業体験から大学生がまちづくりの提言(滋賀県近江八幡市)
    滋賀県近江八幡市教委で就業体験(インターンシップ)を行った大学生がこのほど、実習の取り組みや提言をまとめた冊子「まちづくりがおもしろいほどわかる本
  • 2003年6月発行 10号
    長崎バリアフリー創造塾 地図で検証、課題を提言(長崎県長崎市)
    長崎市のまちづくりを市民と行政が一緒に考えるプロジェクト「長崎伝習所」の「観光長崎バリアフリー創造塾」(塾長=後藤恵之輔・長崎大工学部教授、29人)は、市内の主な観光施設・地域について、お年寄りや体の不自由な人が利用しやすいかどうかを調べた地図「バリアフリーアトラス」を作った。平和公園や原爆資料館など原爆関連施設、オランダ坂やグラバー園など歴史的施設、JR長崎駅や長崎空港など交通拠点のほか、主要なホテル、諏訪神社、大浦天主堂などのトイレや出入口といった項目について、昨年度に実地調査。車椅子を使って不便や危険を感じる個所を体験した。作製した地図には障害者用トイレや駐車場、非常ボタン、電話、エレベーターを示すとともに、実際の使いやすさや改善点の提言も盛り込んだ。
  • 2003年6月発行 11号
    財田川河川敷のお花畑でのまちづくり(香川県観音寺市)
    観音寺市八幡町の財田川左岸の河川敷にあるお花畑で、ヤグルマソウの青や紫、白、ピンクと、紙細工のようなポピーのかれんな赤の花が寄り添うように美を競っている。河川敷での花栽培は、河川改修の折、花のあるまちづくりを提唱した住民(故人)の声がきっかけとなり、99年から県、市が栽培に取り組み、委託を受けた地元の茂木町内会(石田芳徳会長)が花の手入れをボランティアで行っている。お花畑は川に沿って細長く伸びる約4000平方メートル。毎年、違った花が咲くように種がまかれており、今年の初夏の花のメインはヤグルマソウ(別名ヤグルマギク)とポピー。ともに今月上旬ごろから咲き始め、見事な花のじゅうたんを作っている。花は6月中旬ごろまで楽しめ、それが終わるとヒメナデシコの花が引き継ぐ。
  • 2003年6月発行 12号
    水辺のステージお目見え 都城市の年見川沿い(宮崎県都城市)
    都城市大王町にある大王街区公園の再整備事業が終了し、市中心部を流れる年見川沿いに水辺の野外ステージがお目見えした。5月18日には地元住民が中心になり、公園で歌やダンスのイベントを開き、「水の公園」のこけら落としをした。再整備は、県と都城市が、総事業費8800万円をかけて行った。5400平方メートルの公園に、護岸を兼ねた階段状の客席と直径十三メートルの円形ステージを配置。透水性舗装や自然石を多用した自然に優しい構造にし、公衆トイレやベンチも新設。水際には魚巣ブロックを沈め、岸から水生生物を観察できるという。県と市は1995年度から、年見川沿いに遊歩道や親水公園を整備している。市まちづくり政策課は「年見川の水質も年々改善されており、川を中心にした集いの場として、祭りから学校行事まで利用してほしい」と話している。
  • 2003年6月発行 13号
    まちづくり市長談話室を開設(熊本県八代市)
    まちづくりについて懇談形式で市長が市民から直接話を聞き、今後の市政運営に反映させようと八代市は5月14日、市役所一階に設けた情報プラザで「まちづくり市長談話室」を初めて開いた。 談話室は「打ち解けた雰囲気の中で町づくりについて建設的に意見を交換したい」(中島隆利市長)と今月から始め、毎月1回、原則として第3月曜日に実施する。この日は、抽選で選ばれた四組がそれぞれ二十分間懇談。同市横手町の無職熊谷弘安さんと妻の途奇子さんは、「夏の球磨川祭りを他の地域からも見物に来たいと思えるような祭りにするため市が率先して意識改革を図るべき」など観光をテーマに提言。これに対し中島市長は「市民参加型、とくに子どもたちが参加できるよう検討したい」と答えた。また、八代子育てサークルネットワーク「レインボー」の澤井美香代表らは、子育てに関する独自のアンケート結果を参考に「子どもたちが安心して遊べる公園をつくってほしい」「土日などに公立保育園を地域の子どもたちに開放してほしい」などと要望。中島市長も「提言を施策に生かしたい」と述べた。
  • 2003年6月発行 14号
    山口市・コミュニティバス、本格運行の是非を11月に(山口県山口市)
    山口市交通まちづくり調査研究委員会(委員長、福留久大・九大院教授)の初会合が5月13日、市役所であった。今年度で試験運行を終えるコミュニティバスのあり方を検討し、11月をめどに市長に報告する。試験運行は01年10月から市内3ルートで始まり今年4月の1便平均乗車数は11・2〜13・4人。国の補助は9月末で終わり来年3月末までは市単独での試験運行となる。学識者や交通業者など20人でつくり、試験運行の評価、利用者のヒアリング調査をし、来年度以降の本格運行の是非や財源などを検討する。路線バス福祉優待乗車証の見直しも協議する。会合では、民業圧迫として廃止を求めるタクシー業界代表が「意思決定に市民以外の委員を入れるべきではない」と述べ、正副委員長の選出をめぐり1時間ほど紛糾した。試験運行の収入不足分を賄う市負担金は01年度3406万円、02年度6653万円。今年度予算では6415万円を計上している。
  • 2003年6月発行 15号
    住民主体で昔の町並み保存へ(京都府久美浜町)
    昔ながらの町並みを保ち、観光客の増加をと京都府久美浜町一区の200人を超す住民らが、新築や改修の際に建物の色や軒先の高さなどを規制する協定を締結、町並みの見直しと保存活動に取り組んでいる。町の景観形成区域にも指定され、住民らは「町の活性化につなげたい」としている。一区は、江戸時代に代官所、明治には丹後・但馬など五国を管轄した久美浜県庁が置かれるなど古くから政治、経済、文化の中心地として栄えた。だが近年、商店街などが衰退。危機感を持った地元有志が2001年、「久美浜一区まちづくり協議会」(和田晃会長)を発足させた。話し合いの中で、かつての繁栄の名残を示す古い木造建築など、町並みの景観を保存し、観光客を引き付けようとなった。昨年12月、一区のうち仲町、土居、東本町、新橋、新町(一部)の各地区地権者の約8割にあたる220人の同意を得て、「久美浜1区まちづくり協定」を結んだ。協定は、対象区域11・8ヘクタールで建築物の新築や増改築をする場合、原色は用いない▽1階の軒は周囲とそろえる▽看板類は必要最小限にする−などで、落ち着きのある町並みを整備する狙いだ。今年2月には、対象区域が町のきれいな町づくり条例に基づく「景観形成区域」に指定され、町から補助金や公園整備などの支援を受けられることになった。
  • 2003年6月発行 16号
    開館記念特別展「横浜リバイバル」を開催(神奈川県横浜市)
    関東大震災から80年。横浜の復興を振り返る開館記念特別展「横浜リバイバル」が横浜都市発展記念館(横浜市中区)で開催されている。6月29日まで。月曜日(来月2日を除く)と来月3日は休館。1923年9月1日午前11時58分、マグニチュード7・9の大地震が南関東を襲った。当時、本格的なまちづくりに着手したばかりだった横浜では、一時的に都市計画事業の中断を余儀なくされた。同展は、その後、官民挙げての思いに支えられ、横浜がさらなる繁栄のために再生されていく様子を紹介している。写真や絵図など数多くの資料を使って、震災直後から復興していく様子が克明にわかる内容になっている。復旧か、取り壊しかで意見が分かれた開港記念横浜会館(現市開港記念会館)については、新聞記事なども展示。当時の空気に触れられる。がれきの投棄場所を整備した山下公園で開かれた復興記念横浜大博覧会(1935年)は、横浜の復興を全国にアピールした。そのパンフレットや招待状、入場券など貴重な資料も展示されている。
  • 2003年6月発行 17号
    ごみ拾い観光施設巡り 長浜市で「環境スタンプラリー」(滋賀県長浜市)
    県の条例で定める「環境美化の日(5月30日)」に合わせて、長浜市は31日、中心市街地のごみ拾いと観光施設巡りを組み合わせたイベント「ながはま環境スタンプラリー」を開く。環境に配慮したまちづくりを広めようと、市民だけでなく観光客にも参加を呼び掛ける企画。市街地を清掃しながら、JR長浜駅駐車場や慶雲館など九カ所に設けたチェックポイントを通るスタンプラリーを楽しみ、ごみ回収場所の大通寺(同市元浜町)を目指す。参加者に限り、当日の午前中は長浜城歴史博物館や長浜鉄道文化館などの観光施設が入館無料になるサービスも。スタンプラリーの制限時間の正午までに三カ所以上のチェックポイントを通過してゴールすれば、午後も無料になる。申し込みの必要はなく、当日は午前九時三十分から豊公園噴水前(同市大島町)で受け付ける。ごみ袋や慶雲館などで無料提供する麦茶用の容器の持参も呼び掛けている。
  • 2003年6月発行 18号
    秋篠宮ご夫妻が植樹(大分県大分市)
    2003年度全国都市緑化祭(大分県など主催)が5月13日午前、大分市の大分スポーツ公園で関係者約五百人が参加し行われた。秋篠宮ご夫妻が出席され、一千種類・百万本の草花や樹木が彩る会場を見学。アヤメなどが咲く花壇に県花・県木のブンゴウメを植樹された。都市緑化祭は、緑豊かな都市づくりを目指し、同公園などで開催中の「全国都市緑化おおいたフェア」のメイン行事。各都道府県や政令指定都市で1986年から毎年開催している。秋篠宮さまは、記念式典で「自然と人間が共存するまちづくりを目指す緑化フェアの運動の輪が広がることを願います」と述べられた。ハーブやバラの常設庭園を散策後、記念植樹を行われた。
  • 2003年6月発行 19号
    コンパクトシティーの提案(鹿児島県鹿児島市)
    日本政策投資銀行南九州支店は、「鹿児島市の住居費はなぜ高い」と題するリポートをまとめた。高い要因として、台風など自然災害が多く修繕費がかかる点と、宅地に適した土地が少なく家賃が高い点を指摘。その上で、今後は限られた土地を有効活用する「コンパクトシティー」を目指すべき方向として提言している。リポートは総務省の家計調査(01年)を基に、鹿児島市の住居費は月額2万4758円で、全国県庁所在地で8番目、九州では福岡市に次いで2番目に高いと言及。住居費の内訳は、家賃が1万5501円、残り9257円が維持・修繕費となっているが、両者とも他県に比べ高いという。南九州支店によると、鹿児島市は可住地のうち宅地に適した低地が約4割で、残りの約6割は台地。このため道路取り付けや、のり面のコンクリート化などで造成費用が余計にかかってしまい、結果的にコストが家賃にはね返っている。また、台風など自然災害が多いため、設備の維持や修繕に必要な費用も多額になり、九州内では最も高い。こうした地形的、自然的要因を挙げた上で、リポートは「従来、町並みは郊外に広がっていくことが常識だったが、今後は人口増が見込めず、中心市街地の空洞化が懸念されるので、逆にコンパクトなまちづくりが求められる」と説明。公共交通機関が整い、職場と住居が接近して、都市機能が一定地区に集約された「コンパクトシティー」を目指せば、地形的なハンディが克服され、路面電車もより生きてくる、と指摘している。
  • 2003年6月発行 20号
    多聞山城跡をシンボルに「奈良きたまち」見直し(奈良県奈良市)
    戦国時代の武将・松永久秀(1510〜77)が築城したが後に破壊され、今では面影がほとんど残らない奈良市法蓮町の多聞山城跡をシンボルに、住民らが地元の埋もれた遺産を掘り起こした町づくりを進めている。観光化され有名になった近鉄奈良駅南の奈良町に対し、北側を「奈良きたまち」と位置付けて見直す取り組みで、行政主導で行う観光開発ではなく、住む人が愛着を持てる"自分たちの庭"としての地域づくりを目指している。取り組んでいるのは、電器店の店主やグラフィックデザイナー、公務員らでつくる「奈良街道まちづくり研究会」(山口育彦代表、会員15人)。少子高齢化や商業施設の移転で活気が失われつつある町に楽しい暮らしや誇りを取り戻そうと、98年8月に発足。河川の清掃や町を知る講座の開催、多聞山城跡にある市立若草中学校の階段を光で飾る幻燈会、東大寺・お水取りで旧奈良街道を運ばれる竹送りの出迎え行事などを開いてきた。対象は、若草中を中心とする半径約1キロ。安土城のモデルとなり、天守閣のある近世城郭の発祥とされる多聞山城の旧跡▽慶安3(1650)年に佐保川に架けられ、現在も使われている巨大な石造りの「石橋」▽吉野から桜が移植されたとされる「桜七所明神」▽赤レンガの建物が目をひく1908(明治41)年建築の奈良少年刑務所▽聖武天皇陵などがある。住民らは2週間に1回、勉強会を開催。2010年の多聞山城築城450年に向けて城の復元を計画。市営住宅跡地の公園化、桜七所明神を生かした桜並木の復活、佐保川でのホタルの育成などの構想を進めている。また若者の斬新な発想を求め、奈良女子大で住環境学を学ぶ学生に、町づくりの提案を依頼、6月に出そろう。
  • 2003年6月発行 21号
    「上狛南部茶問屋ストリート整備研究会」が最終報告書素案提示(京都府山城町)
    山城町上狛南部地区の街並み保全・再生と観光PR策を検討している同町の「上狛南部茶問屋ストリート整備研究会」の第4回会合が5月7日開かれた。座長の山崎正史・立命館大理工学部教授(都市・景観研究室)が最終報告書の素案を提示。ガイドラインに沿った建物外観の保全・修景▽道路の電線地中化や石畳化▽訪問客がお茶を楽しみ購入できる場所の整備などを挙げ、「生活と産業を生かしながら訪問客をもてなす街並み」を提案している。この日の議論などを取り入れて今月中に最終報告書がまとめられ、藤原秀夫町長に提出される。
  • 2003年6月発行 22号
    独自のまちづくり活動に、区単位の助成制度(宮城県仙台市)
    仙台市は、区単位でのまちづくりを進める新たな助成制度をつくり、事業の提案募集を始めた。区民の手による区独自のまちづくりを目指すもので、藤井黎(はじむ)市長は「区民の創意工夫が生かされるまちづくりをしたい」と話している。名称は「まちづくり活動助成制度」。市の市民活動支援室によると、採用された提案には最高で50万円が交付される。対象になるのは、地域の課題を解決したり活性化に取り組んでいる市民団体で、具体的な事業としては落書きや違法駐輪の対策、お年寄りの支援活動などが考えられる。「自立した活動を図るため」(同室)との理由で、助成は3年間に限られる。市は99年度に、市単位のまちづくりを対象にした助成制度「まちづくり活動企画コンペ」を導入。昨年度には、区民が個別に助成金を申請する「区民と創るまち推進事業」を始めた。新たな助成制度はこれらを統合し、より身近な街づくりを目指すとともに、コンペ方式の市民提案の要素も取り入れた。交付団体の決定に当たっては、各区ごとに区民や有識者5〜7人からなる「評価委員会」を設置し、公開で団体の提案を審査する。募集は各区ごとに6月上旬まで受け付け、同月中に交付団体が決まる。
  • 2003年6月発行 23号
    近畿の優れた街並み発表(大阪府大阪市)
    近畿の優れた街並み・まちづくりを投票で決める「あなたが選ぶ近畿の街並み・まちづくり選考会」が4月28日、大阪市内で開かれ、21の地区を選んだ。投票で上位に入ったのは1位が神戸市の旧居留地、2位が神戸市の北野町・山本通、3位が京都市の西陣と奈良県大和郡山市紺屋町の街並み。大阪・あいりん地区のまちづくりも5位。和歌山県湯浅町や大阪・道頓堀なども選ばれた。選考会は、日本建築学会近畿支部が優れた街並みを紹介し、建築関係の団体や市民と、近畿の街並みを考えようと企画。近畿2府4県の代表者がそれぞれ、候補地として挙げた42地区の歴史や問題点、地元の取り組みなどを発表し、参加者の投票で決定した。古山正雄実行委員長は「まちづくりの方法は多様化しているが、21世紀の方向性を占えたのでは」と話した。
  • 2003年6月発行 24号
    12校区に子育て支援などのまちづくり組織(熊本県荒尾市)
    荒尾市は地区の課題解決や活性化を進めるため、市内12小学校区に市民によるまちづくり組織を立ち上げる。先行的に取り組む2地区を5月中に選定。両地区でまちづくりプランをつくり、来年度から活動を始めてもらう計画だ。同市は第四次総合計画に、市と市民が連携・協力した「協働のまちづくり」を掲げている。各地区のまちづくり組織には市職員数人を配置、市民と一緒にプランを考える。市は各取り組みに対して補助金も交付。「協働」のモデル事業と位置付けた。計画では各地域の意向を聞き、モデル二地区を選定。住民代表20〜30人によるまちづくり組織を設置し、約一年かけて「地域元気プラン」と銘打った計画をつくり活動してもらう。残る地区も来年度から順次、組織を立ち上げる。市は期待する取り組みの例として、子育て支援や空き店舗の活用、環境美化活動などを挙げている。「行政の一方通行ではなく、市民と協力して魅力的な地域づくりを進めたい」と担当のくらしいきいき課。前畑淳治市長は「市民の盛り上がりに期待したい。特性を生かした地区づくりができれば」と話している。
  • 2003年6月発行 25号
    事業評価をNPOに委託しHPで結果を公表(岩手県)
    岩手県千厩地方振興局(沖正博局長)は、同局に関係する事業の事後評価を特定非営利活動法人(NPO法人)に委託し、結果をホームページ(HP)で公表する独自の取り組みを、県内の振興局で初めて開始した。評価結果への住民の意見を吸い上げ、次年度以降の政策立案に反映させるのが狙い。県庁では同局の例を参考に、県内の全振興局の事業評価マニュアルづくりに着手、一振興局の試みが広がりを持ち始めた。事業評価を受託したのは、盛岡市に事務局を置くNPO法人「政策21」(岩渕公二理事長)。市町村など事業主体の意向が使途に反映される市町村総合補助金と、振興局長に使途が一任される地域活性化事業調整費の2種類について、2000、2001の2カ年度に行われた約80事業のうち14事業を選んで評価した。評価委託料は約137万円で事業調整費から支出された。評価は、町村など事業主体への聞き取りなどで行われた。「必要性」「効率性」など5項目に分け、45点満点で点検。総括の文書と目標達成度などを示すフロー図も添付した。県は地域振興課が中心となり、千厩振興局の例にならい、評価マニュアルづくりに取り組んでいる。今秋までに、県内12振興局で、総合補助金と事業調整費の対象となる約800事業すべてを、マニュアルを基に振興局自らが評価。本年度中には評価結果を各局の地域の学識関係者や商工関係者らでつくる委員会などにはかり、次年度以降の政策立案に反映させる。結果は県のHPなどで公開していく方針だ。
  • 2003年6月発行 26号
    「任期付き職員採用制度」でまちづくりアドバイザー募集(福井県鯖江市)
    鯖江市が導入を決めていた「任期付き職員採用制度」の募集が始まった。自治体の公務に高い専門性を持つ民間人を活用することなどが目的で、昨年7月に国の法律が施行されたのを受けて導入された。採用対象は、男女平等専門員1人と、まちづくりアドバイザー若干名。男女平等専門員は、男女平等参画推進事業の企画運営や女性の人材育成、社会参画の推進などに携わる。まちづくりアドバイザーは、地域活性化に取り組む団体などへの指導助言などを行う。採用試験の受験資格は、いずれも県内在住で1963年4月1日までに生まれた人。雇用期間は今年7月1日〜08年3月末。週40時間勤務で月給30万円程度。
  • 2003年6月発行 27号
    「構造改革特区」に山梨ワインなど(山梨県)
    一定地域を規制緩和して地域活性化を目指す「構造改革特区」が、今年度からスタートした。政府は、全国57件(申請129件)を第1号認定に決定し、山梨県内からは、県が申請していた「ワイン産業振興特区」と須玉町の「増富地域交流振興特区」が誕生した。特に、14年8月から県は、「ワイン産業振興特区」について、ワイナリーがブドウ作りからワイン醸造まで一貫して行うことで、ワインの品質向上を図る検討を始めた。県のアンケートでは、県内のワイナリー83社中、37社が回答、うち19社が特区を希望したのを受け、山梨市や勝沼町など峡東15市町村を対象に、特区申請した。山梨産ワインの製成量は全国シェアの約4割を占めるが、一時のワインブームも影を潜め、98年度の約4万1000キロリットルを頂点に、01年度は約2万6000キロリットルまで落ち込んだ。安価な輸入ワインにも押され、今や山梨産ワインの危機だ。農地法の規制緩和で、農地の所有・賃借を規制されている民間会社やNPO(非営利法人)も、農業経営が可能になるため、ワイン醸造専門のワイナリーにもブドウ栽培の門戸が広がる。しかも、遊休農地の活用も図れる一石二鳥だ。県でも地元農家への農地提供の呼びかけや、ブドウ栽培ノウハウの指導など、支援策を検討しており、苗木が育ってブドウが収穫される5〜6年後に「特区ワイン」デビューを想定。2014年度には140キロリットルの製成を見込む。
  • 2003年6月発行 28号
    余剰オフィスをマンション、高齢者向け施設へコンバージョン(東京都)
    丸の内、六本木や汐留に大規模なオフィスビルが建設される一方で、既存のオフィスビルに空室が目立つようになってきている。いわゆる「2003年問題」が顕在化してきた。国土交通省の予測では、05年度末の空室率は、84〜95年竣工物件で3〜5%、それ以前の物件は10%以上としている。その対策として、空きビルは街の沈滞化につながるためニューヨークやロンドンのオフィス街ではごく当たり前とされている、オフィスビルからマンションや高齢者向け施設等へのコンバージョン(用途変更)が注目されてきている。既に、地下鉄後楽園駅近くの出版本社ビルは、ビル1棟を丸ごとマンションにコンバージョンする計画である。今年からこのコンバージョン事業に本格参入する大成建設(株)は、建物の状態や立地、賃料水準などを分析し、耐震性能や法規面など多角的に検討することで、最も合理的な改修・転換方法をビルオーナー向けに提案していくこととしている。このような動きは、職住近接や都心居住の実現、さらには、資源のリユース(再活用)を通じて、ストック型「都市再生」の可能性を示している。
  • 2003年6月発行 29号
    路上工事の軽減策に利用者・有識者委員会を設置(国土交通省)
    国土交通省は、6月にタクシーやトラック協会関係者などの利用者代表と有識者を交えた委員会を設立する予定である。この委員会では、利用者の立場から路上工事の軽減策を検討し、まとめる予定であるが、現段階では、路上工事の日数を削減した事業者名を公表するといった方策や、地域を決めて集中的にガスや水道の工事を行い、その後5年間は掘り返し規制を行う「掘り返し対策重点エリア」の充実も検討する方針である。また、秋頃を目安に中間取りまとめを行う。これは、東京23区での2002年の路上工事件数は、7491件であり、1992年の16472件からは、ほぼ半減しているが、利用者にとって、工事が減ったという実感は薄く、道路の補修などの純粋な道路工事に比べ、ガスや水道など路上を占用して行う工事が全体の約8割と多いことや、利用者から「(道路)予算消化のために工事するのではないか」と誤解されるのも依然多いなど、道路利用者の不満を解消するため行うものである。
  • 2003年6月発行 30号
    美しいまちづくりへ条例施行(大阪府藤井寺市)
    藤井寺市では、4月に青少年の健全育成や環境美化を一層進めるため、美しいまちづくり推進条例を施行した。同条例の特徴として、公衆電話ボックス内に貼られた迷惑ビラ(ピンクビラ)などを管理者(NTT)の承諾を得て、市が取り除くことができる規定を設けたことである。また、美しいまちづくりのため市、市民、事業者の責務を規定し、前述の公衆電話・公衆トイレの迷惑ビラの除去、空き地空き家の適正管理、ペットの糞の処理、落書きの禁止、ゴミのポイ捨ての禁止、廃自動車や廃棄物の投棄の禁止などを定めている。これに伴い、駅周辺や道路などに散乱するゴミなどを自主的に清掃するボランティア団体の募集も始めた。
  • 2003年6月発行 31号
    御堂筋の再活性化へ歩行者天国の社会実験を計画(大阪市)
    大阪市は、大阪府警や国土交通省と協議し、10月にミナミの繁華街であるメインストリートの御堂筋で、全面的に車両の通行を止め、歩行者天国とし、沿道の企業など構成されるタウンマネジメント組織等と連携してのオープンテラスの設置や、大道芸人のパフォーマンスなど様々なイベントを催す社会実験を計画している。この実験では、都心部を南北に走る御堂筋のうち、心斎橋や難波の繁華街がある長堀通〜千日前通の幅44m、6車線の車道約800mの区間で、10月の毎日曜日午後に車両全面通行止めにより、歩行者天国にする構想である。こうしたイベントを起爆剤としてにぎわいを創出し、再活性化させるのがねらいである。また、市は、実験結果によって翌年以降も10月に同様のイベントを行いたい考えである。
  • 2003年6月発行 32号
    バリアフリー情報をホームページで発信(東京都杉並区)
    杉並区は、区内の公共施設や病院、飲食店などのバリアフリー情報を見やすいアイコンを使用し掲載し、その施設の案内地図も見られる「いってきまっぷ」のホームページを開設した。これは、東京都の「福祉のまちづくりモデル地区整備事業」の一環として、バリアフリーマップ「いってきまっぷ」を冊子とCD−ROMで作成したが、情報の更新が容易であることからホームページ化を行った。また、ホームページの作成、運営・運用を区内の民間非営利団体(NPO)に委託し、新鮮で質の高い情報がいつでも入手可能となったため、幅広い利用を呼びかけている。(ホームページ http://i-map.jp/ )
  • 2003年6月発行 33号
    「飛鳥京ルネッサンス」で古代の文化を体験(奈良県、橿原市、明日香村など)
    奈良県、橿原市、明日香村などで構成する「飛鳥京ルネッサンス実行委員会」は、9月11日から11月3日まで飛鳥時代の文化を体験できるイベント「飛鳥京ルネッサンス」を明日香村を中心として開催する。奈良県は、平城京遷都1300年を迎える2010年に記念事業を計画しており、今回はそのオープニングイベントである。また、数年後には、藤原京(橿原市)をテーマにイベントを開催する予定である。この飛鳥京ルネッサンスのシンボルイベントとして、9月20〜23日に、楽劇(音楽と劇の融合)の上演・神奈備市(古代の市場)・飛鳥時代の衣装による時代行列などを実施する。そのほか、県立万葉文化館で、現代の画家、漫画家などが描く聖徳太子の肖像画の特別展示や、小説家や研究者による「飛鳥京リレー講演」なども行う予定である。

  • まちづくり情報の見出しは、どなたでも閲覧可能ですが、まちづくり情報(詳細)へのアクセスは、ユーザID、パスワードが必要です。
    ユーザID、パスワードは、原則として、協会会員限定で発行しております。
    お問い合わせ先:(公財)都市計画協会
    担当:依田 TEL:03-3262-3491 yoda@tokeikyou.or.jp
    入会案内はこちら