月刊まちづくり情報
2003年7月発行
- 2003年7月発行 01号
明治の洋館を文化拠点にNPOが集客行事(静岡県静岡市)
旧エンバーソン邸は、大火や戦災を経験した静岡市内で、現存する数少ない明治時代の西洋建築物。明治36年にカナダ人宣教師のロバート・エンバーソンの住宅として同市西草深町に建てられた。取り壊しの話が持ち上がった昭和61年に現在の日本平動物園の裏に移築されたものの、その後ほとんど補修されることはなく老朽化が進んだ。利用者も年々減少し、昨年は1日あたり10人ほど、「お化け屋敷」との声も出るほどである。利用者を増やし市から補修費を獲得しようと、同市の「NPO法人とこは生涯学習支援センター」が立ち上がった。4月から管理を委託され、4日に建物内で開かれたジャズコンサートには約130人が集まりレトロな雰囲気に酔いしれた。週末は子供向けの木工教室や楽器づくりのイベントも開かれ、家族連れなどでにぎわっている。 - 2003年7月発行 02号
浄化センターの屋上に多目的広場(静岡県静岡市)
静岡県静岡市の静清浄化センターで、5月26日に屋上を利用した多目的広場の供用開始式が行われた。広場の大きさは9500平方メートル。県と清水市が平成13、14年度に約5億800万円をかけて、芝生広場、トリム遊具、健康遊歩道などを整備。通路には下水泥をリサイクルしたブロックを使用した。地元住民は「スポーツなどいろんな活動に使っていきたい」と喜んだ。広場は年末年始を除く毎日、無料で利用でき、利用時間は原則として午前8時30分から午後5時まで。 - 2003年7月発行 03号
赤白煙突さらば、景観配慮のグレーの煙突お目見え(静岡県富士市)
静岡県富士市の王子板紙冨士工場に、明るいグレーの高さ80mの煙突がお目見えした。新煙突の脇には、70年と74年に建てられた2本の煙突がある。耐震診断で大きな揺れで折れ曲がる可能性が指摘され、将来を見越し撤去が決まり、新たな1本が完成した。これまで煙突は、航空機が認識できるように高さを7等分し、目立つ色の赤、白で塗装していた。01年10月の航空法改正で、点灯発光灯の設置に変更され、景観に配慮した背景にとけ込む塗装が可能となった。新たな煙突はコンクリート製から、周りに鉄骨を組み、腐食対策に強化プラスチックを使う新型に変わった。同工場は、点灯発光灯による周辺住民や公共施設への影響を調査した。 - 2003年7月発行 04号
清水駅に東西自由通路が開通し地域活性化に弾み(静岡県清水市)
これまで清水市街地は、商店街が連なる駅西地区と魚河岸などがある臨港部の駅東地区を東海道線が分断する形で、人の流れを妨げていた。清水市街地は新市建設計画で、静岡市街地と並ぶ「都市核」に位置づけられながら、基盤整備の立ち遅れが指摘されるだけに、地元関係者は波及効果に大きな期待を寄せている。東西自由通路は延長93m、幅8〜12m。橋上駅舎の改札口は自由通路のほぼ中間地点に設け、階段のほかにエスカレータと車いす対応のエレベーターでホームを結ぶなど全体にバリアフリーに重点を置いた。6月21、22日は、同駅周辺でミニSL試乗会や鉄道模型展示などの各種イベント、地元商店街では記念セールが実施された。 - 2003年7月発行 05号
日本海側随一の複合コンベンション朱鷺メッセオープン盛況(新潟県新潟市)
国際会議や見本市など大小さまざまな催しに対応できる日本海側随一の複合コンベンション施設「朱鷺メッセ」が5月1日、新潟市万代島にオープンした。オープン初日は先端技術を集めた「夢テクノ新潟'03」が開幕。3歳児と同じ言語能力を持つロボットや最新のデジタル画像技術による歴史的建造物の解説コーナーなど、科学技術を暮らしに身近な形で紹介、来場者は21世紀の新潟を象徴する新しい施設を一目見ようと、大勢の県民でにぎわった。朱鷺メッセは、国際会議場や展示場を備えた「新潟コンベンションセンター」とホテルやオフィス、県立美術館などが入る31階建て、高さ140mの「万代島ビル」からなる複合施設。国際交流や産業・経済活性化拠点として平山知事が推進してきた看板事業で、県と民間企業が計459億円投じて完成させた。 - 2003年7月発行 06号
万代橋祝誕生祭 橋上を車両通行止め市民らに開放(新潟県新潟市)
新潟市のシンボルである現在の万代橋は、1929年に架けられ、今年で誕生から74年目。架橋された8月23日を祝うイベント「万代橋誕生祭」が同日、万代橋上で開催される。当日は午後1時から同8時まで橋上を車両通行止めにして市民らに開放、市民団体による手作りイベントなどを行う。橋上ではオープンカフェやビアガーデンの開設のほか、万代橋の紹介コーナー設置も検討している。6月4日には市民団体や関係機関などを中心とした実行委員会が発足。誕生祭の詳細を協議していく。 - 2003年7月発行 07号
中心市街地の商業活性化への補助金などを再構成(秋田県横手市)
秋田県横手市は、中心市街地の商業活性化への従来の補助金や奨励金制度を再構成し、「あいうえお事業」として支援内容や対象を拡大した。「あ」は空き店舗対策、「い」はイベントによる商い賑わい創出補助金等、「う」は「受け継ぐ」で伝統工芸品等の製作者同士の情報交換やホームページ支援、「え」はエキスパート(商い名人)養成補助金、「お」は新たに取り組むオリジナル商品開発・提案の奨励。あいうえおを頭文字とする補助金などを再構成し、意欲のある事業主などを支援する。 - 2003年7月発行 08号
「京の商店街チャレンジ21事業」(京都府)
京都府はこのほど、商業団体が地域と連携し、まちづくりの視点で活性化に取り組む活動を支援する「京の商店街チャンレンジ21事業」の対象となる計7事業17団体を決めた。財団法人京都産業21を通じ、地域通貨や環境を切り口にした独自の商業活性化策に対し、総額3700万円が補助される。チャレンジ21事業は、新しい商いの手法と、まちのにぎわいを実現しようと府が創設。初年度の今回は、それぞれの地域資源に着目して地域との連携を目指す取り組みや、中心市街地活性化を目指す「まちづくり機関(TMO)」など、100万から450万円を助成する。 - 2003年7月発行 09号
夜間や週末にも受け付け拡大へ「京町家なんでも相談」(京都府京都市)
京都市下京区の市景観・まちづくりセンターは、町家の維持や改修などに関する「京町家なんでも相談」を6月23日から始めた。一昨年の開始以来、町家の所有者などから相談が増えていることから、夜間や週末にも受け付け時間を広げる。同センターへの町家に関する相談は昨年度400件を超えたが、受け付けが平日の昼間に限られていたため、「仕事でいけない」との声が多かった。同センターの「ひと・まち交流館京都」内への移転を機に、相談時間を変更した。一般相談は月−土曜の午前9時から午後9時半まで受け付け、町家に関する悩みや不安などが対象。同センター職員が参考情報や実際の取り組み事例を紹介する。専門相談は7月から9月までの第1日曜と第四木曜に開設。町家の賃貸借や相続、改修工事などについて、不動産や建築関係の専門家が午後1時半から4時半まで応じる。いずれも無料。専門相談は事前予約がいる。 - 2003年7月発行 10号
日本都市計画家協会賞の特別賞を市民団体が受賞(鳥取県鳥取市)
鳥取市の湖山池を中心に、環境保全と地域住民の交流をはぐくむ市民団体「湖山池自然再生協議会」が、特色あるまちづくりに贈られる「日本都市計画家協会賞」の特別賞を受賞した。池周辺の3小学校の総合学習から地域・大学を巻き込んだ「湖山池再生」の取り組みが評価された。6月21日、表彰式に事務局長の若田泰徳さん(21)=鳥取大4年=が出席する。受賞するのはNPO(非営利組織)の同協会(東京)が今年度新設した賞のうち、20〜30代が活動主体の団体を対象にした「若手まちづくり部門賞」。地域住民も参加した総合学習の経緯を若田さんがつづった「子どもと大学生が地域を変える!『おもしろ体験湖山池』」が計74点の応募作から選ばれた。 - 2003年7月発行 11号
「犯罪危険地図」作り防犯冊子のマニュアルに(東京都葛飾区)
地域ぐるみで子供を犯罪被害から守ろうと葛飾区青少年委員会は、子供からのアンケートをもとに地域住民が「犯罪危険地図」を作り、改善策を話し合う仕組みをまとめた冊子「子どもを犯罪から守る活動マニュアル」を作成した。アンケートの仕方や地図作りのノウハウなどを網羅。マニュアルのもとになった市民講座を主催した同区亀有社会教育館は、今夏にも参加者らによる「子供を犯罪から守るまちづくり推進委員制度」(仮称)をスタートし活動を区内全域に広げていきたい考えだ。マニュアルは地域の犯罪多発ポイントを明らかにし、犯罪を誘発させる環境について考え、問題解決に向けて地域で取り組んでいくのが狙い。同館で昨年9月から講座が行われ、同区立小中学校のPTAなど5団体が参加した。千葉大学の中村攻(おさむ)教授=地域計画学=が講師となり、地図作りや改善策の検討方法などを伝授した。参加者たちはその後、地元の計9小中学校の小学4年から中学3年までの児童、生徒にアンケートを実施。無記名で「知らない人に殴られた」とか「ちかんに遭った」など具体例や場所を挙げてもらった。参加者たちはグループに分かれ、子供たちが被害に遭ったと指摘した公園や道路、商店街や駐車場などを実際に歩いて、その場所をチェックし、「犯罪危険地図」を作成した。大人は気が付かないものの子供たちが危険と感じている公園があったり、駐車や植え込みが高くて死角になっている場所なども意外に多かったという。作成した地図をもとに、行政や警察などに働きかけ、薄暗かった公園の木の枝を切って見通しを良くするなどすでに改善された公園もあるという。 - 2003年7月発行 12号
市町村の意欲に応じ、権限移す方針を確認(愛知県)
愛知県は6月16日、市町村への権限移譲を一層進めることを目指し、神田真秋知事を本部長とする「県地方分権推進本部」を約4年ぶりに開いた。現在、人口規模に応じて一律的な権限移譲しか行っていないのを改め、市町村の意欲と希望に応じて権限を移す方針を確認した。今年度中に、04年度から数カ年にわたる権限移譲計画を策定する。特例市に、中核市に与えるのと同様の権限を与えるなど、一段上の自治体に与えられる権限を移譲する「ステップアップ方式」、まちづくりや福祉、農林業振興など特定分野の権限を一括して移す「パッケージ方式」など、新たな移譲方法を採用する方針で、今後、市町村からの意見を募る。また、学識者による「分権時代における県の在り方検討委員会」を発足させ、同委員会の提言も踏まえて計画を立てる意向だ。同委員会は17日に第1回会合を開き、市町村への権限移譲のほか、道州制の導入も視野に入れた広域行政体制づくりなどを検討した。 - 2003年7月発行 13号
デジタル地図に情報自由掲載 宇治eまちづくりシステムへ(京都府宇治市)
京都府宇治市は本年度から、ホームページのデジタル地図上に、市民グループが自分たちの情報を自由に掲載し、インターネットを通して紹介する「eまちづくり・市民情報マップシステム(仮称)」の取り組みを始める。デジタル化した地図情報や統計データーなどを融合させる「GIS(地理情報システム)」を活用し、市民参加型の情報発信を目指す。市内のサークルやボランティアグループ、小・中学校などに呼びかけ、登録した団体は自分たちで紹介したい情報や画像を、自由に書き込み更新できる。例えば、サークルの成果発表やイベント情報、少年野球・サッカーチームの練習試合結果などを地図で検索することもできるという。今秋に約200団体を公募、各団体に無料でICカードとカード読み取り機を貸与し、自宅や市内の公共施設にあるパソコンから、宇治GIS研究開発支援センターにあるサーバーに接続できる。来年1月末からホームページの公開を始め、2005年3月まで約1年間続ける。 - 2003年7月発行 14号
設置5年ボランティア連絡協、90団体に(群馬県尾島町)
県内で唯一、町に「ボランティア推進課」を設置している尾島町のボランティア連絡協議会(茂木次雄会長)の加盟グループがこのほど、90団体になった。他市町村のボランティア団体は、ほとんどが社会福祉協議会で運営されているが、同町は「1人1ボランティア」を合言葉に、行政が直接関与し、福祉向上を目指している。町にボランティア担当セクションが出来て丸5年。太田青年会議所の「魅力あるまちづくり実践特別委員会」(土橋達也委員長、会員12人)が90団体(計2150人)目となった。加盟団体には地元企業も多く含まれ、町民の文化、スポーツ活動グループの加盟も多い。町の各種イベントのみに協力するグループや、史跡ガイドを担当するグループのほか、元旦のニューイヤー実業団駅伝にも多くのボランティアグループが参加して大会を盛り上げるなど、それぞれが得意分野で活躍している。太田青年会議所も、夏祭りの「尾島ねぷたまつり」での活躍を目指して加盟したという。相沢邦衛町長が阪神淡路大震災でのボランティア活動の大切さと必要性を痛感したのをきっかけに、隣人愛の復活を願い、運動を展開中。町が中心となってボランティア活動の推進を図っている。 - 2003年7月発行 15号
城崎の「まちづくり計画」に早大と米国の大学院生参加(兵庫県但馬市)
城崎町・城崎温泉街の新しいまちづくり計画の立案に、建築・都市デザインを専攻する早稲田大と米国・マサチューセッツ工科大(MIT)の大学院生ら22人のプロジェクトチーム(PT)が参加した。現地調査のため6月12日より、城崎入りしたが、町は「日米の若い学生らのアイデアで、次の100年を見据えた温泉街の魅力を磨き上げたい」と期待を寄せている。柳並木がある大谿川の風情など現在の街並みは、1925(大正14)年の北但震災で壊滅した温泉街の復興で誕生した。当時の西村佐兵衛町長と同じ早稲田大出身の建築家、岡田信一郎らが復興計画策定に参画することになり、現在の「城崎らしさ」の基本ができた。これらを背景に、町は「不況の中でも他の観光地より優位を保てているのは、今ある街並みのお陰。合併前の余力あるうちに、次の街づくりの方向性を考えたい」(町まちづくり課)と、「まちづくり計画策定プロジェクト」を企画。学生参加型のまちづくり計画に共同実績がある後藤春彦・早稲田大理工学部教授と神田駿・MIT建築都市計画学科教授に、白羽の矢を立てた。一行は18日まで滞在し、町公会堂を"研究室"代わりに使って、5班に分かれて温泉街を実地調査した。また、研究成果の中間発表と最終提案の報告会は、15、17日に同公会堂で開かれた。 - 2003年7月発行 16号
「親子つどいの広場」開設 子育て支援さらに充実(石川県小松市)
小松市は6月から、同市向本折町、こまつまちづくり交流センターに「親子つどいの広場」を開設した。小松市シルバー人材センターの子育てサービスも今年度からスタートしており、昨年発足したファミリーサポートセンターと合わせ同市の子育て支援対策事業はお母さんらに好評だ。男女共同参画社会・少子化時代を反映して、子育て支援の輪が広がってきている。親子つどいの広場は、核家族化で子育てに悩む母親同士が悩みを相談したり、友達づくりをしてもらうのが目的。交流センター内の80平方メートルのスペースには、ベビーベッドや絵本、積み木など遊具のほか、お母さんの私物を入れるロッカーもあり、子育てアドバイザーも待機している。日曜日を除き毎日午前10時から午後4時半まで利用出来、若いお母さんたちからは「遊びに行くところがないので大助かり」と喜ばれている。シルバー人材センターの子育てサービス事業は、子育て経験を共働き夫婦のために生かそうと始めた事業。あらかじめ育児サービスの講習を受講した会員を登録。店の仕事が忙しくて子供の面倒をみられない家庭や、子育てに慣れない若い母親のアドバイザー役としても派遣されている。 - 2003年7月発行 17号
部局超え地域活性化支援(長野県)
下伊那地方事務所は6月6日、新産業と雇用を創出する体制を拡充強化するための組織「飯伊地域活性化支援プロジェクトチーム(仮称)」を発足し、県飯田合同庁舎でチーム会議を開いた。県職員による部局を超えたチーム編成は県内初の試み。初会合では、公募による委員らがそれぞれの立場から地域への思いを語り、市町村、関係団体と連携しながら産業構造の変換や雇用創出の支援に力を注ぐことを誓い合った。チーム構成員は、公募により集まった同所、下伊那農業改良普及センター、飯田保健所、飯田建設事務所、飯田教育事務所の有志職員13人と、三木正夫地事所長ら事務局6人を加えた計19人。県産業活性化・雇用創出推進局が設置した全県的なチームの地方版で、県内では初の試みとなる。事務局が、本来の業務との両立を可能にする環境整備や、チームの活動期間を2―3年にするなどとした活動方針を説明。当面は地域の情報収集、現状や課題を探る作業を進める、との方向性を打ち出した。支援を必要とする活動、事業を整理した後は、方面担当を中心にチームを組んで支援の実行に移る。具体的には取り組み地域の発掘、コーディネーター養成、交流の場づくり、地域・集落の取り組みネットワーク化などへのアドバイス、支援を想定している。 - 2003年7月発行 18号
館林市の「歴史の小径事業」石畳道路、観光スポットつなぎ整備(群馬県館林市)
「城下町の面影を後世に伝えよう」と館林市は、中心市街地にある歴史的建造物を結ぶ「歴史の小径(こみち)事業」を昨年から推進している。同市大手町(旧鷹匠町)に、このほど完成した市道改良工事の結果、平凡だった市道が昔懐かしい石畳に生まれ変わるなど、新しい観光スポットとして、人気を呼んでいる。この道路は、東武館林駅東口の「竜の井」から、市役所など旧鷹匠(たかじょう)町までを結ぶ「歴史の小径」(約1.5キロ)の一部。全長約222メートル、幅員4メートルで、御影(みかげ)石の平石と、陶製ブロックが敷き詰められ、往時の雰囲気を醸し出している。また、武家屋敷風の白壁土塀を新たに建設。電柱も移設され、すっきりと落ち着いた雰囲気が味わえる。観光客らに立ち寄ってもらおうと、国庫補助事業を活用し、約5400万円を投じて完成した。「歴史の小径」沿いには、国の登録文化財に指定されている江戸時代からの造り酒屋「毛塚記念館」や酒としょうゆを造っていた「外池商店」、「長屋門」など、城下町の名残をとどめる建造物が点在している。同事業は5年間で、約35ヘクタールを整備して、街のにぎわいを取り戻そうと企画された。着工に当たり、同市は99年から、地区住民と研究会を開催、市民の意見を取り入れた整備事業の第1弾。 - 2003年7月発行 19号
大型店特区申請で地元説明会(栃木県宇都宮市)
宇都宮市は、国が進める構造改革特区のうち、大型商業店の特例について申請することを決め、6月19日、地元関係者を対象とした説明会を開いた。同市中心部では上野百貨店、西武百貨店宇都宮店が既に撤退し、ロビンソン百貨店宇都宮も9月末の閉店が決まっており、市街地の空洞化が続いている。特区が認められれば大規模小売店舗立地法(大店立地法)の手続きが緩和されることから、同市などは大型店の出店を期待している。今回特区として申請するのは、二荒山神社や東武宇都宮駅などを含む商業エリアと、JR宇都宮駅西口周辺の2カ所。この区域内で、1000平方メートルを超える大型店を出店する場合、手続き期間の短縮や、添付書類の大幅削減が可能となる。手続き面では、市など関係機関による意見聴取や公告縦覧が不要となるほか、県への届け出後、開店まで約8カ月かかった期間が大幅に短縮される見通し。さらに、出店者が自前で実施する必要のあった交通量調査・自動車来台数予測、騒音予測、廃棄物排出量予測なども不要となるため、開店コストが削減される。県経営支援課は「同様に申請する動きは他にはない。宇都宮市の状況は国も把握しており、同市が全国で初めて認定される可能性が高い」と説明している。 - 2003年7月発行 20号
震災復興へ西宮中央商店街でアーケード撤去、大時計外す(兵庫県西宮市)
阪神大震災で大きな被害を受けた西宮市馬場町周辺の西宮中央商店街で6月16日、アーケード撤去の安全祈願祭があった。商店主ら約50人が見守る中、震災発生の「午前5時46分」を指したまま止まった大時計も取り外され、数10m離れた広場に仮設置された。あの日から約8年5カ月。時計は今後、震災モニュメントとなって商店街の復興を見守っていく。阪神西宮駅南に南北150メートル、東西300メートルにわたって広がる商店街は、震災でほとんどの店が全半壊。売り上げが落ち込んだこともあり、同商店街振興組合(岡山勝義理事長)が「暗いイメージを変えたい」とアーケード撤去を決めた。11月末をめどに、新たに街灯を設置し、石畳を敷く。時計は、直径約1mで、重さ約30キロ。すぐ近くの「丸山時計店」店主だった故丸山武一さんが25年前に寄贈した。震災で故障したが、「震災を風化させず、再生のシンボルに」との声が強く、撤去に合わせ、モニュメントになることになった。 - 2003年7月発行 21号
若者や商店街を巻き込み、もう一度にぎわいを(宮崎県宮崎市)
商店街や自治体などが空き店舗を借り上げ、資金のない創業希望者に期限付きで安く提供するチャレンジショップ制度。宮崎市では00年9月に導入され、同市橘通東3のアゲインビルに23店がオープンした。開店直後は多くの客でにぎわい、マスコミも取り上げたが、2年半後の今は7店に減り、客足もまばらな状態である。空いたスペースを埋め、同時に客も呼び寄せたい。そう考えて昨年11、12月に「宮農ふれあいマート」を開いた。県立宮崎農業高校の生徒が空きスペースを活用。授業で作った農産物などを売った。話題性もあり、多くの人が訪れたという。今年も7月5〜9日に開く予定だ。周辺商店街との連携も重要である。宮崎商工会議所は「地理的に見て、アゲインビルに人が流れれば周辺の商店街にも循環し、相乗効果がある」と話す。同時セール実施など、協力の可能性はいくらでもある。 - 2003年7月発行 22号
佐賀商高の調査部の商店街活性化活動(佐賀県佐賀市)
佐賀市の中心商店街ににぎわいを取り戻そうと、佐賀商高の調査部が6月15日、同市呉服町アーケード内656広場で「朝市」を開く。これを手始めに部員たちは今年度、4つの活動計画を立て、商店街の活性化に一役買おうと意気込んでいる。調査部は約20年間、同市の中心商業地域12カ所で通行量の調査を続けてきた。その結果によると、昨年の通行量はピーク時(93年)の半数以下に減少していた。調査だけでなく、商店街を自分たちの手で盛り上げようという趣旨に多くの生徒が共感し、部員は24人に。これまで年数回だけだった活動も週3回に増やし、「まずは幅広い層に来てもらえるイベントを」と朝市の企画、準備に取りかかった。出品するのは大和町の授産施設・佐賀コロニーや高志館高で栽培しているトマト、タマネギ、キュウリなどの野菜や花の苗が中心。午前9時から完売まで続ける予定という。部員たちは15日の本番に向け、8日には同広場での「さが特産品日曜市」に参加して朝市の感覚をつかんだり、ポスター掲示やビラ配りに奔走中。商店街活性化への取り組みとして、同部は他にも、高齢者や障害者の依頼を受けて米やしょうゆの重いものなどを商店街で買って来て届ける「お使い」のボランティア活動や、空き店舗への定期的な出店なども計画している。 - 2003年7月発行 23号
東武野田線・愛宕駅市街地計画、構想から30年ぶり着工へ(千葉県野田市)
野田市は6月17日、市役所の最寄り駅である東武野田線・愛宕(あたご)駅の市街地整備に着手する、と発表した。まず東口駅前広場(広さ約3500平方メートル)を新設するため、駅北側に広場予定地の店舗が移転する代替地(広さ1・1ヘクタール)を確保し、05年度中に商業区域として整備する。広場の完成は09年。市は6月議会に代替地購入・整備代金2億2800万円の支出を提案する。同駅前整備では地権者の調整が難航し、着手は構想から30年ぶりとなった。同駅東口は93年に市役所が現在地に移転して以降、市の玄関口となった。しかし改札口前には広場がないうえ、駅前から市役所などのある市の中心部につながる「県道つくば野田線」は渋滞が激しく、駅利用者がタクシーや自家用車で駐停車するのも難しい状態だ。このため、市は駅前整備に合わせ、道路幅を広げるとともに、来年度の県の都市計画に野田線の連続立体交差化を盛り込むよう働きかけ、駅周辺の踏切を解消したい考えだ。市は駅西口駅前広場(広さ約3000平方メートル)の整備も検討している。 - 2003年7月発行 24号
新都心構想で渋滞解消や遊休地活用に官民組織設立(福岡県福岡市)
福岡市は、九州最大のビジネス・商業地である同市の天神地区とJR博多駅地区の街並み改造へ向けた「新都心構想」づくりに取り組む。構想具体化を容易にするために、両地区のビル所有者らも交えた官民一体の組織を近く設立、来年度までに構想をまとめる。両地区では2005年春に地下鉄3号線が完成、13年春には九州新幹線鹿児島ルートが全線開業する予定。都心機能がより強化される時期を控え、慢性的な交通渋滞解消や建て替え時期のビル街再開発などを進め「新都心」実現を目指す。同市総務企画局によると、官民組織は同市のほか両地区のビル所有者やテナント入居者、交通事業者などで構成。道路レイアウト変更や交通拠点の移転等の都市機能再配置、遊休地の有効活用などを協議。放置自転車対策など早急に取り組むべき地域課題も検討する。直近の課題から数年先、数10年先の都市計画まで具体的、段階的な構想とする考え。本年度は調査費50万円をつけた。 - 2003年7月発行 25号
景観保全にデータベース 国交省が国づくり大綱(国土交通省)
美しい街並みや風景を残すことを目的とし国土交通省は6月15日、地域の保全すべき景観を登録したデータベースを本年度内に作成する方針を固めた。併せて、公共事業の構想段階から景観に配慮するシステムを導入する。今月中にもまとめる「美しい国づくり政策大綱」に盛り込む考えだ。大綱は公共事業や都市計画を決定する際などに、「美しさ」を考慮することを原則にするのが狙い。景観を保全する法制度も検討課題に挙がっている。データベースでは(1)観光資源にもなる、優れた景観リスト(2)水辺を点検する「川の通信簿」など景観保全の先進的な取り組みなどを蓄積し、検索等の処理を行う。 - 2003年7月発行 26号
自転車が通りにくい「9割」再開発より安全第一(東京都)
都内の道路の現状について、9割が自転車が通りにくいと感じ、将来の道路整備については7割以上が「安全性への配慮」や「高齢者らの利用しやすさ」を求めていることが6月12日、都生活文化局の「区部における都市計画道路の整備」アンケート調査結果で分かった。この調査は今年5月、同局が契約しているモニター500人を対象にインターネットで実施した。 - 2003年7月発行 27号
文京区、建物に「高さ制限」導入へ(東京都文京区)
住宅地に隣接する高層マンションの高さを制限しようと、文京区は6月10日、幹線道路沿いの商業地域の一部で、建築物の高さを45メートル以下(14階程度)または35メートル以下(11階程度)に抑える「絶対高さ制限」を導入することを決めた。同区都市計画審議会の答申に基づいた措置で、来月上旬に見直し案を都に提出し、来年夏ごろ実施される見通し。幹線道路沿いの商業地域で高層マンション建設計画が相次ぎ、事業者と地域住民との間でトラブルが起きるケースもある。商業地域に第1種低層住宅専用地域が接している地域があることも要因になっている。このため住環境への影響を懸念し高さ制限を求める地域住民らの意見なども踏まえ導入に踏み切った。指定地域は、同区本駒込6の六義園周辺と音羽1の音羽通りの商業地域。従来の高さが60メートルの地域を45メートル以下に、45メートルを35メートル以下にそれぞれ制限した。絶対高さ制限は23区内では世田谷区や江戸川区などが既に導入方針を打ち出している。両区では絶対高さ制限に加え、敷地面積が細分化されないように、一定の面積を確保していなければ建物を建設できない「敷地面積の最低限度」の導入も決めている。 - 2003年7月発行 28号
東京都が廃止方針 中小企業振興を優先(東京都)
東京都は、住環境を保護するため特別工業地区での工場の規模や事業内容を規制してきた「特別工業地区建築条例」を廃止する方針を固め、6月24日開会予定の定例都議会に廃止条例案を提案した。規制を緩和することで中小企業振興を図るのが目的だが、住宅と隣接する場所では住民とのトラブルも予想される。産業振興か住環境保護か、同地区を抱える各区市町は条例廃止後の対応に頭を悩ませている。同条例は、高度成長期前の1950年に施行された。都市計画法上の工業専用地域、工業地域、準工業地域のうち、特別工業地区(第1種、第2種)に指定した区域について、事業内容や工場の床面積、使用できる機械などを規制しており、違反者には罰金が科される。工場と住宅が隣接、混在する「準工業地域」については、原動機を使う作業場の床面積が300平方メートルを超える工場や、生コンクリート、木材、ガラス、れんがなどの製造工場は「付近住居の環境を害する恐れがない」場合以外は建設できないなどの規定がある。同条例は、町工場と住民間のトラブルの未然防止に役立ってきたが、その半面、中小企業にとっては、自由に建て替えや規模拡大ができないなどの足かせになっていた。「周辺住民から苦情があり、防音工事をしようとしても面積規制がネックとなって工事申請ができない」など規制撤廃を求める声も根強く、都は「競争力のある中小企業を再生するため、環境面で考えられる対策の一つ」(産業労働局)として条例廃止を決めた。 - 2003年7月発行 29号
ひまわりの花いっぱいの地域活性化(沖縄県 西原町)
「町まちづくり研究会」。新しいまちづくりの在り方を研究しようと一昨年に立ち上がり、今年の3期生の研究テーマのひとつが「花いっぱいのまちづくり」で、町民と協働でのまちづくり方策を検討している。会は、町民にガーデニングへの監視を深めてもらおうと、ひまわりを植えるための土地や遊休農地の提供などの協力を呼びかけていた。協力に応じたのは、町議の富春治さん所有の約250坪の畑で、会員と富春さんとで種まきを行った。種まきを終えて富さんは「ひまわりは景観的にもすばらしいので協力しようと思った。町民の皆さんに喜んで頂ければ」と話した。同会メンバーも「これからは住民、地域、行政が三位一体の協働でまちづくりを進める時期。町民に快適な環境を提供したい」「開花したら町内の保育園児を招待して見せてあげたい」などと開花を楽しみにしている。ひまわりは2ヶ月ごに開花する見込み。 - 2003年7月発行 30号
若手によるまちづくり計画が始動(沖縄県 那覇市)
那覇市が大道小学校区で実施する「コミュニティいきいきプロジェクト」がスタートした。プロジェクトでは、民間非営利団体(NPO)から専従コーディネーター1人を配置し、地域、学校、行政を結びつけた地域活性化を目指す。プロジェクトチームは20〜30代の若手6人で構成。メンバーの多くは、栄町市場で昨年から今年にかけて実施した「エコマネー導入実験」にも携わった。事務所は大道公民館であり、自治会から無料で借り、生活相談や児童クラブなどの機能を持たせる。地域を歩いて学ぶ体験学習や、地域リーダーとなる人材の育成など、行政に頼らないさまざまな取り組みを行う。開所は職実以外の月、水、金、土曜日の週4日、午後1時〜9時までである。事業期間は2005年度までの3年度で、4年目以降は地域の人材が主体的に運営する。 - 2003年7月発行 31号
PFIの事業契約と監視の実務指針を策定(内閣府)
内閣府の民間資金等活用事業(PFI)推進委員会は、PFI事業契約を結ぶ際の留意事項を示した「契約に関するガイドライン」と、公共サービスを担う民間事業者が、約定に基づいて確実にサービスを行っているかを評価するための「モニタリングに関するガイドライン」の両案をまとめた。いずれもPFIをめぐる実務上の指針で、契約ガイドラインは、契約に盛り込む規定や内容を、モニタリングガイドラインはサービス水準を監視する方法を掲げている。両ガイドラインとも、一般からの意見募集を経て、6月中にも最終取りまとめを行う。 - 2003年7月発行 32号
補助金配分 自治体の裁量で(国土交通省)
国土交通省は、複数の自治体が「病院へのアクセス改善」や「観光の振興」などのテーマを決めて地方道を整備、改良する際、国が事業費の55%を補助する「地方道路整備臨時交付金」について、同じ事業に関係する自治体間で、補助金の配分を自由に決められるよう改善する方針を決めた。2003年度の申請分で、適用可能なものから実施する。 - 2003年7月発行 33号
密集市街地改善へNPOに委託実施(大阪府)
大阪府は、木造密集市街地を再整備するため、地域住民のまちづくり意識向上事業を民間非営利団体(NPO)に委託実施することを決め、事業提案の公募を始めた。狭い道路に老朽化した住宅が立ち並ぶ住環境を再整備するため、現状と課題を把握し、課題解消に向けてまちづくり意識を高める。府が進めるNPOとの協働施策の一環。 - 2003年7月発行 34号
民間事業含めた都市計画の基本構想を策定(東京都千代田区)
千代田区は、都市基磐整備を進めるため、民間事業も含めた都市計画の基本構想「まちづくりグランドデザイン」を策定した。事業規模は10年間で約2兆円。国や民間の開発計画を取り込んだ上で、区全体としての都市計画の方針を示した。 - 2003年7月発行 35号
水と緑・歴史と文化のまちづくり条例 市民の声を生かす(愛知県岡崎市)
岡崎市は、市民の声をまちづくりに生かしながら都市環境の整備・保全を図るため、「水と緑・歴史と文化のまちづくり条例」を制定する。条例案を6月議会に提出、施行は10月1日の予定。中核市移行で、開発許可などの権限が県から移譲されたことなどを受け、「水と緑」「歴史と文化」のまちを市民、事業者とともに守り育てるため、制定する。 - 2003年7月発行 36号
ミュージアム都市づくり基本計画の策定(茨城県つくば市)
つくば市は、同市内にある研究機関や商業施設と自然を活用した都市づくりを行うため、「ミュージアム都市づくり」の基本計画を策定した。同市には国などの教育・研究機関や民間の研究施設が数多くあり、それらとつくば市の自然や歴史的施設を組み合わせ、地元業者などの協力を得て街づくりを行う。
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